Aras Innovatorへの3DxSUITEの組み込み
Aras Innovatorは製品ライフサイクル管理のための優れたツールとして世界中で利用されています。ものづくりに必要なあらゆる情報を一元管理することができ、もちろんそこには3Dデータも含まれます。
このAras Innovatorにエリジオンの3DxSUITEを組み込むことで、3Dデータの活用をより高度化し、従来の課題を解決することができます。本稿ではその象徴的な7つのケースを紹介します。
7つの事例
事例1 ― CAD比較機能の組み込みで変更箇所を漏れなく把握
お悩みごと
アセンブリモデルが数千ファイルと大規模で設計変更の差異を把握できない
解決策
CADファイルの差分を検出する機能(CAD Validator)をAras Innovatorに組み込むことができます。
データ処理の流れ
- 専用のプラグインでSOLIDWORKSから直接二つのCADファイルをAras Innovator側で取得
- ユーザーがAras Innovatorの画面から指定した複数のファイルを比較
- 比較結果のレポートファイル(.html)を自動生成しAras Innovatorに格納
ポイント
- SOLIDWORKSとAras Innovatorがスムーズに連携
- Webブラウザーで誰でも簡単に比較レポートを見て変更点を把握可能
- 比較精度、業務効率が大幅に向上
事例2 ― ビューアーファイル生成で非CADユーザーにも3Dデータをシェア
お悩みごと
設計部門がCADを用いて製品形状を設計しているが、CADを持たない他部署で3Dを生かしきれず情報伝達が非効率
解決策
3D CADソフトで作成されたファイルをビューアー用に自動変換することで、例えば調達部門や営業部門などCADになじみがない部署でも手軽に3D CADデータを確認できるような仕組みをつくることができます。
データ処理の流れ
- 専用のプラグインを通じ、種類の異なるCADソフトで作られた設計データをAras Innovator側で一括して取得
- 自動的にビューアー用のファイル(.xvl)にデータを変換しAras Innovatorに格納
ポイント
- データの取得から変換までが全自動
- 3Dデータの全社利用が可能に
- 情報共有の速度と質が改善
事例3 ― Technical Data PackageとしてPDFファイルを配信
お悩みごと
取引先にデータを配信する際に、複数の情報を別々に取り出して送付する必要があり手間がかかる。送付ミスも起こりやすい
解決策
3D CADソフトで作成されたファイルをもとに、形状だけでなく管理情報も含んだPDFファイルを自動生成する仕組みを構築できます。情報をPDF形式のファイルに集約することでより多くの関係者が手軽に閲覧できるようになります。
データ処理の流れ
- 専用のプラグインを通じ、CADソフトで作られた設計データをAras Innovator側で取得
- CADデータの情報と管理情報を埋め込んだPDFファイルを生成しAras Innovatorに格納
ポイント
- 閲覧に専用ソフトを必要としないPDFファイルを配信することで、情報を全社的にシェア
- TDP(Technical Data Package)として社内だけでなく取引先とも情報を共有
事例4 ― 機密保護用データを作成し共有
お悩みごと
取引先にCADデータを納品する際に不要な内部形状を見せたくない。手動で取り除く手間もかかり、削除ミスや削除漏れも発生している
解決策
3D CADソフトで作成されたモデルの形状の外形だけを抽出し、中間フォーマットのSTEPに変換してAras Innovatorに格納できます。詳細な形状をなくした軽量なモデルを共有できるようになります。
データ処理の流れ
- 専用のプラグインを通じ、CADソフトで作られた設計データをAras Innovator側で取得
- CADモデルの外形だけを自動抽出
- STEPファイルとして出力しAras Innovatorに格納
ポイント
- 手間のかかる外形抽出・形状簡略化の作業を自動化
- 内部情報のないCADデータだけを取引先に送付でき、機密情報を保護
- 中間フォーマットSTEPへの変換で多くの取引先との情報共有が実現
残りの3つのケースについては、次の記事で紹介します。