機能

PMI品質検証

PMI Checker

3D正の製造プロセスに不可欠なPMI(Product Manufacturing Information:製品製造情報)。その整合性を自動検証して、CADデータの品質向上、さらには業務プロセス全体の効率化をサポートします。

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PMIと3D正のものづくり

PMI(Product Manufacturing Information)とは、3D CADデータに付加される寸法、公差、注記、材料など、形状以外の製造情報を指します。これらは文字や記号で表され、企業や部署間の連携によるものづくりに欠かせない要素です。

PMIが付与された3D CADデータは「3DAモデル(3D Annotated Model)」と呼ばれます。欧米では3Dデータに製造情報を集約する手法が「MBD(Model Based Definition)」として普及しており、日本でも、データに持たせられる情報量の多さから従来の2D図面ではなく3Dデータをマスターにする取り組みが徐々に進んでいます。

マスターを3Dにする、つまり「3D正」の仕組みを実現するには、すべてのPMIが正確に記載されているかが重要なポイントになります。

関連記事: ものづくりDXの基礎となる3DAモデル流通、3Dデータ変換、設計品質自動検証

なぜ3D正か?

情報の一元化―誰が見ても同じ理解に

2D図面では、立体形状を3面図や断面図で表現するため見る人の読み取る力量に依存しがちで、解釈違いや見落としが発生しやすいと言えます。3DAモデルは立体的な形状そのものに寸法、公差、仕様(PMI)を埋め込めるため、視覚的・直感的、かつ正確に情報を伝達できます。

下流連携の強化―手戻り削減

2D図面では、CAD→CAMやCAD→CAEなどで情報が再解釈され、そこで手戻りやミスが発生しやすいと言えます。3DAモデルであれば、モデルをそのまま加工用ツールや解析・検査ソフトに取り込めるため、設計意図がそのまま製造や検査に反映されやすくなります。

設計変更への対応力向上

2D図面は一部の変更でも複数図面に手修正が必要で、修正漏れ・整合性の不一致が起こります。3DAモデルでは、マスターデータを修正すれば関連情報が自動的に反映されるため、変更に強く、再利用や派生設計にも効果的です。

PMIの不整合の問題とその克服の難しさ

3D正を進めたくても、PMIの不整合が障害となってしまうケースは少なくありません。

3Dデータに付与されたPMIの整合性確保に向け、現場ではさまざまな工夫が重ねられているものの依然として多くの課題が残されています。

目視では不具合が完全には見つけられない

複雑なCADモデルを人の目で完璧に確認することはできません。人によって精度も異なります。

PMIに長けたベテラン技術者が不足している

豊富な経験や優れた勘を持つ技術者に頼った体制をいつまでも続けるのは困難です。

CADのチェック機能だけでは不安

一つのツールに依存した場合、不具合が見落とされる場合もあります。

PMIチェックの自動化のメリット

3Dを“正”とするものづくりを進めるなら、3Dデータに付けたPMIが正しく整っているかを自動でチェックできる仕組みを整えることが大切です。

ヒューマンエラーの削減

自動チェックツールがあれば、ルールに基づいてすべてのPMIを網羅的に検証できます。寸法値の誤入力やモデル形状と一致していない公差情報を漏れなく検出できます。

下流工程の不整合を抑止

3DAモデルが信頼できるデータとして下流に流れ、CAM・CAE・CMMで起こりうる不具合を抑止します。

標準化・教育負担の軽減

PMIの正確な記載には設計者の習熟が必要で、導入初期の教育コストや習熟度のバラつきが課題です。自動化で初心者でも間違いに気づけ、社内ガイドラインの形骸化も防げます。

エリジオンのPMI Checkerの特長

3D-SUITEのPMI CheckerはCADモデルのPMIを詳細にわたって検証します。

不備や漏れを確実に発見し、データ品質の向上を支援します。

幅広いフォーマット対応
CADだけでなく、STEPやQIFなどの中間フォーマットにも対応。すべてを同一のユーザーインターフェースで検証可能です。異なるCADや取引先データを扱う際も一貫した操作性が保たれ、データ形式の違いによる手戻りやツール切替の手間を削減します。
豊富な検証項目を搭載
ISO/ASME規格に基づいた検証項目だけでなく、PMI活用の際の潜在的な問題を検出する検証項目を標準搭載。CAD搭載のPMI機能と組み合わせることで、より包括的な品質保証をサポートします。各社固有ルールに合わせたカスタム検証にも対応予定です。
多彩な結果出力
「Inspector」を通じて3D-SUITE Model ViewerやCAD上で結果確認ができます。確認は検証項目別 / PMI別 / モデルビュー別の3タイプから選択可能。3D PDF形式のレポート出力に対応し、CAD環境がない関係者とも情報共有できます。HTMLレポート / 機械可読な検証結果の出力にも対応予定です。

PMI Checkerの操作イメージ

PMI Checkerの検証項目例

30以上の検証項目を揃えています。

フェースとの関連がないPMI

PMIの“nX”指定数と関連付いたフィーチャー数の整合性

円記号 / 球記号が正しく使用されていない寸法

パターン内の寸法値の同一性

位置が曖昧で参照先が不明確なデータム

幾何公差からの参照が不適切または欠落したデータム

参照先が未定義のデータム

幾何特性と関連するフィーチャー形状の整合性

幾何特性と参照するデータム形体の整合性

指定された適用領域と関連するフィーチャー形状の整合性

その他の検証項目

  • エッジのみに関連付いたPMI
  • 頂点のみに関連付いたPMI
  • いずれのモデルビューにも含まれないPMI
  • 接続するPMI間の関連形状の整合性
  • 複数のモデルビューに含まれるPMI
  • 長さ寸法の寸法値と実際の形状長さの整合性
  • 角度寸法の寸法値と実際の形状角度の整合性
  • 寸法値よりも大きな公差値
  • 公差を持たない寸法
  • サイズ形体との関連がない公差寸法
  • 指定値を超える誤差が丸め処理により生じた寸法
  • 不正なラベルのデータム
  • データムのラベルの重複
  • 引出線の三角記号が欠落したデータム
  • 拘束が不十分なデータム
  • 幾何公差の修飾子と関連するフィーチャー形状の整合性
  • 円記号 / 球記号が正しく使用されていない幾何公差
  • 修飾子のないゼロ値公差の幾何公差
  • 複数の幾何公差間での公差値の整合性
  • 姿勢公差と参照するデータム形体の整合性 ほか

正しいPMIを次工程に正しく伝達

PMIの精度を確認した後は、次工程で利用されるシステムに正しくその情報を受け渡さなければ意味がありません。

3D-SUITEは、主要なCADシステム間のPMI変換に対応しています。

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他機能と組み合わせ
最適なデータ授受のプロセスを

PMI Checkerは、3D-SUITEのあらゆる機能と組み合わせて利用できます。形状や属性のデータ変換、形状の検証、CAD比較などの機能と組み合わせながら、プロセスをまたいだ3Dデータ活用を進めましょう。

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