株式会社エリジオン(本社:静岡県浜松市、代表取締役社長:矢野 裕司、以下 エリジオン)は、ドローンやMMS(モービルマッピングシステム)で計測した点群データから、配管や建物のCADモデルのベースとなる平面や円柱形状を自動抽出する機能を開発しました。本機能は、2020年8月31日にリリースする、点群データ処理ソフトウェアInfiPointsの新版で提供を開始します。
ドローン・MMSを用いた広範囲スキャンからのCADモデル化を実現
MMSで計測した点群(左)とInfiPointsで自動抽出した平面(右)
(点群データの出典: G空間情報センター/静岡県)
土木・建築業界を中心に現場の3D計測が普及する中で、計測対象の規模が大きいプラントや道路の場合には、据え置き型の3Dレーザースキャナーに加えスキャナーを自動車などの移動体に搭載して計測する手法が取られます。この場合、広範囲を効率的に計測できる利点がある一方で、スキャナー自体が移動するため計測された点群データには隣接点同士の関係性などの情報が付与されず、後工程での利活用に手間がかかるという難点がありました。またドローンなどで撮影された画像からSfM(Structure from Motion)技術で作成された点群データにも、同様の課題がありました。
エリジオンは、それらの点群データに不足した情報を再構築し、点群から自動で平面や円柱形状を検出する技術を開発しました。これにより、ユーザーはドローン・MMSで計測された点群を用いて、据え置き型の3Dレーザースキャナーなどで計測された別の点群データとの合成や、広範囲の建物・配管のCADモデル化をInfiPoints上で効率的に行えるようになりました。
ハンディー型スキャナーで計測した点群にも
ドローンやMMSのほかにも、設備の小規模な改修を行う際などに利用されるハンディー型の3Dレーザースキャナーや、自動車が入れない現場で用いられる手押し型やバックパック型のスキャナーで計測した点群にも、同様のデータ処理を施すことができます。その結果、据え置き型のスキャナーで計測した点群データとの自動合成が可能となり、現場をきめ細かく、効率的にデジタル化することができます。
また、点群処理ソフトウェアでデータを変換した際に一度情報が失われた点群に対しても、InfiPointsで情報を補うことで再度データを活用することができます。
テクスチャーの自動生成でCADモデリング作業を効率化
InfiPointsは、ユーザーが点群データを元に設備・配管のCADモデルを作成し、BIMソフトウェアに受け渡すことのできる機能を備えています。出力されたCADモデルは、従来、単色での表現にとどまっていましたが、このたび、点群データの色情報からテクスチャー付きのCADモデルを生成する技術を開発しました。
これにより、ユーザーはよりリアルな見た目のCADモデルをBIMソフトウェアに取り組んで詳細な設計を行うことができる(*)ほか、データ容量が軽く、かつ見栄えのよいデータを用いて、工事関係者や顧客とより円滑なコミュニケーションを取ることが可能になりました。
InfiPointsで点群からCADモデル化し、Autodesk Revitに出力したデータ。
左が従来機能で出力したCADモデル、右がテクスチャー付きで出力したCADモデル