株式会社エリジオン(本社: 静岡県浜松市、代表取締役社長: 矢野裕司)は、3Dでの設計品質を自動検証するソフトウェアDFM Studioの新版「DFM Studio v2.0.2」をリリースしました。
SOLIDWORKS用のプラグインを追加
DFM Studioは、技術者によって設計された3Dモデルが実際に製造できる形状であるか、または製造コストの高い形状になっていないか自動で検証するソフトウェアです。エリジオンのCADデータ変換機能と組み合わせることで、あらゆるファイル形式の3Dデータの検証が可能です。オプションとして一部のCADソフトウェアの専用プラグインも提供しており、ユーザーは設計中の画面からそのままCADデータの検証を行うこともできます。
従来は、シーメンス・デジタル・インダストリー・ソフトウェア社のハイエンドCADソフトウェアであるNXと、PTC社のCreo Parametric用にプラグインを提供してきました。今回、中小規模の企業が多く導入するダッソー・システムズ社のミドルレンジCADソフトウェア、SOLIDWORKSにも対応したことで、ものづくりに関わるより多くの技術者が同機能を利用できるようになりました。

検証プロセスの高速化
DFM Studio v2.0.2では、CADデータの品質検証から結果表示までの各プロセスのパフォーマンスを従来に比べ大幅に改善しました。例えば、検証の処理速度は約1.3倍、検証結果の保存や表示の処理速度はそれぞれ約5倍になりました。
TeamcenterやWindchillのデータも手間なく検証
さらに、DFM Studio v2.0.2ではオンメモリーでのデータ検証を可能にしたことで、検証対象のCADデータを一時的にローカル環境に保存する必要がなくなりました。例えば、CADデータの共有・管理のためにシーメンス社のTeamcenter やPTC社のWindchillといったPDM(Product Data Management)システムを利用している場合でも、ユーザーは検証のたびにCADデータをダウンロードする必要がなく、手間を気にせず頻繁に設計品質を確認することができます。
ものづくりのDX をサポート
昨今のコロナ禍の影響で、製造業のDX(デジタルトランスフォーメーション)にもあらためて注目が集まっています。ものづくりのDXは単に設計・製造業務に用いる道具をデジタルツールに置き換えることではなく、製品の形状をデジタルで定義し、属性や公差指示などを付加することで意味のある情報に昇華させ、さらにそのデータを中心とする効率的な製造プロセスを確立することです。すでにものづくりの現場にはCADソフトウェアが普及し、3Dデータにはあらゆる情報が付与されるようになりました。一方で、それらの豊富な情報は設計・解析など一部のプロセスでのみ活用され、生産準備や量産など他の工程ではまだ十分に生かされているとは言えません。
エリジオンは、DFM Studioの提供を通じて、実際に物を作るフェーズにおける3Dデータの有効活用を可能にしました。また、人が良し悪しの判断を下していたいわば人の知恵の部分もデジタル化することで、データを中心に据えたより高度な製造プロセスも実現します。
DFM Studioは2016年10月の発売以来、自動車、自動車部品、電機・精密、玩具など国内外の幅広い業界の設計・製造部門で利用されています。導入企業では、製造を始める前段階で問題が発見されることで手戻りが減り、開発リードタイムの短縮やコストの抑止につながったり、DFM Studioでの検証結果を設計者が自ら確認することで製造リテラシーが向上したりするなどの効果が現れています。また人の経験や知識に依存せずデータの検証が行われるため、ベテラン技術者のリタイアや担当者の異動があっても過去に起きた問題が繰り返されない仕組みがDFM Studioの活用を通じて実現されています。
エリジオンは、3Dデータの形状・属性・PMIなどあらゆる情報を、正しく、有効に活用するための新たな技術を今後も開発し、ものづくりのDXをサポートするソリューションを提供してまいります。