エリジオンは3Dデータ変換・活用プラットフォーム「3DxSUITE」(スリーディースイート)の新版「EX10.0」を、本日1月12日にリリースしました。 EX10.0では、特にCADデータに含まれるPMI(製品製造情報)の変換・活用機能を拡充しました。
DXに必要なセマンティックPMI変換とPMIチェック機能
3Dデータに情報を集約してものづくりを効率化する考え方は、欧米ではMBD(Model Based Definition)、日本では「3D正」と呼ばれ、コロナ禍以降のDX(デジタルトランスフォーメーション)への関心の高まりと相まって大手企業を中心に積極的な取り組みが始まっています。
3D正のものづくりを推進する上で必要になる取り組みの一つが、3D CADデータに付与されたPMIの効果的な活用です。
PMIには二つの種類があります。一つ目は、人が読み取ることのできるグラフィックPMI、もう一つは、ソフトウェアがその意味を読み取ることのできるセマンティックPMIです。
ものづくりの過程では、会社や部署ごとに使用するソフトウェアが異なるため、3D CADデータの受け渡し時にファイル形式の変換が行われるのが一般的です。このとき、形状やPMIが正しく変換されたように見えても、セマンティックPMIとしては正確に変換されず、プロセスやソフトウェア間の連携が途切れてしまうことがあります。これが3D正の実現やDXの阻害要因の一つになっています。
そこでEX10.0では、従来の3D形状やグラフィックPMIに加え、セマンティックPMIの正確な受け渡しをサポートするため、データ変換時のPMIの変換精度の向上を図りました。また、後工程での手戻りの原因となるPMIの不具合を事前に検出し、設計者に修正を促す「PMIチェッカー」のプロトタイプを開発しました。
製品統合による利便性を向上
またEX10.0では、これまで別製品として提供してきた三つのツールを3DxSUITEに統合しました。PDQ検証、データ修正、形状簡略化などの3DxSUITEの従来機能と、新たに加わった製造可能性検証、3D CADデータをもとにした2D図面比較機能などを組み合わせることで、より高度な3Dデータ処理を一つのシステム上で行うことができるようになりました。
- 製造性検証ツール DFM Studio ⇒ DFX Analyzer
- 自動車の突起検証ツール DFAS Studio ⇒ DFX Analyzer
- 2D図面比較ツール Drawing Validator ⇒ Drawing Validator
その他の新機能と機能改善
新機能、キネマティクス変換
ロボット動作に必要な運動学演算式(キネマティクス)が付与された3D CADデータを他のファイル形式に変換する際、形状やPMIに加えてキネマティクスも併せて変換する機能を新たに開発しました。
TDP(テクニカル・データ・パッケージ)用HTML出力機能
レポート作成機能を強化し、HTML形式でTDPを生成できる機能を追加しました。従来の 3D PDF形式のレポートと並び、より汎用的なデータ形式での3Dデジタル情報の共有をサポートします。
CAD比較機能の改善
二つの3D CADデータを比較するツール「CAD Validator」に、自動で二つのモデルの向きをそろえて比較する機能が追加されました。これにより、差分をより正確に検出できるようになりました。
差分変換による大規模モデルの変換スピード向上
他のファイル形式に変換された3D CADデータに追加の変更があった場合、その差分だけを再度変換する機能(プロトタイプ)を新たに開発しました。これにより、特に大規模な3D CADデータの変換効率が大幅に改善しました。
DXのための3Dデータ活用
ソフトウェアやハードウェアが3Dデータの情報をもとに自動的に物事を判断し作動することで、人は初めて単純作業から解放されます。この状態がDXの先に目指すべき状態であり、人がより創造的な仕事にシフトするための理想的な環境と言えます。逆にこの領域に達するまでは常に人の目視確認や手作業がなくなりません。
エリジオンは製造業におけるDXを3D正の面からサポートするため、3D CADデータの形状に代表されるヒューマン・ヴィジブルな情報と、PMIや属性などマシン・リーダブルな情報の双方をより効果的に活用する技術の開発に、今後も積極的に取り組んでまいります。