フロントローディングとDFX
下流工程での手戻りやコスト増加を抑えるためには、できる限り上流工程の段階で問題を解決しておくことが重要です。この考え方は「フロントローディング」と呼ばれています。
フロントローディングを実現するための具体的なアプローチの一つが、「DFX(Design for Excellence)」という設計思想です。DFXとは、製造性や品質、保守性など、後工程で求められる要件をあらかじめ設計段階に織り込むことで、全体最適を図ろうとする考え方を指します。
その代表例が「DFM(Design for Manufacturability)」であり、設計された形状が製造に適しているかを事前に検証します。また、あらかじめ定められた設計ルールに沿っているかを確認する「DRC(Design Rule Check)」も、上流での品質確保を支える重要な取り組みの一つです。
フロントローディングやDFXはなぜ重要なのか
問題解決を“先取り”する取り組みであるフロントローディングやDFXが重要とされるのは、開発サイクルの早い段階で課題に対処するほうが、後工程で修正するよりもはるかにコストを抑えられるためです。
例えば、試作や量産段階、さらには製品リリース後に問題が発覚すると、手戻りによるスケジュール遅延に加え、追加の工数や材料費が発生します。場合によっては、損失が数億円規模に膨らむこともあります。
それにもかかわらず、DFXを十分に実践できている企業はいまだに多いとは言えないのが実情です。
DFX導入における課題
DFXが適用される領域としては、例えば以下のようなプロセスでの考え方が挙げられます。
- DFA(組立性設計: Design for Assemblability)
- DFC(コスト設計: Design for Cost)
- DFS(安全設計: Design for Safety)
- DFE(環境設計: Design for Environment)
- DFT(試験容易性設計: Design for Testability)
ただし、導入にあたっては大きな障壁も存在します。それが、業界全体や社内における標準化の不足です。チェック基準となる項目や数値は、各企業の製造プロセスや生産能力に応じて個別に設定されるため、汎用的なものを定めるのは困難です。その結果、企業ごとに独自のチェックリストや運用プロセスを構築する必要があり、これが導入・定着のハードルとなっています。
エリジオンのDFXへのアプローチ
DFXを実現する有効な手法の一つが、3D CADデータの活用です。設計データをチェックしようとしても、従来は人が目視や手作業で形状を確認したり測定したりする必要がありました。時間がかかる上に個人の経験に依存するため、結果にばらつきが出やすいという課題もありました。
エリジオンはこうした課題に対し、3D-SUITEの機能である「DFX Analyzer」を用いた自動化ソリューションを提供しています。
DFX Analyzerは3D CADモデルを起点とし、設計形状をルールに即して検出・解析・評価することができます。基準となる項目や数値のカスタマイズも可能なため、企業ごとの独自性にも柔軟に対応します。
検出結果は操作しやすいリスト形式で提示され、問題点は3Dビューアーで視覚的に確認できます。また、解析結果はExcel形式で出力できるため、文書化やチーム内での共有・コラボレーションにも便利です。



DFX Analyzerの主な特長
あらためてDFX Analyzerの特長を整理します。
完全自動化
DFX Analyzerは、3D CADデータからさまざまな特徴形状を自動で検出します。これにより、チェック作業を効率化できるだけでなく、担当者の経験値に左右されない、一貫性のある結果を得ることができます。

高いカスタマイズ性
DFXの要件は、業界や企業ごとに異なるため、高い柔軟性が必要です。
DFX Analyzerは、樹脂部品や板金部品に関する標準的なチェック項目を備えていますが、しきい値の変更などはユーザー自身で行うことができます。これにより、各社の設計基準に合わせた運用が可能です。
また、DFX Analyzerにも搭載されている、特徴形状の検出や寸法計測を行うコア技術は、SDKとしても提供されています。それが、「Geode SDK」です。汎用プログラム言語であるPythonでスクリプトを記述することで、独自のチェック機能やシステムを構築できます。

インターオペラビリティー
現在でも、企業や部署ごとに異なるCADシステムが使用されることは一般的です。
DFX Analyzerは、高度なデータ変換機能を備えた3D-SUITEの一機能として提供されています。そのため、主要なCADシステムはもちろん、STEPやJTといった中立フォーマットにも対応しています。
これにより、マルチCAD環境においてもCADデータを双方向でスムーズに活用することが可能となる、つまりインターオペラビリティーが実現されます。結果として、部門や企業をまたいだ円滑なデータ運用を支援しています。

フロントローディングの加速に
本稿では、フロントローディングを実現するための一つの手法として、DFXの考え方をご紹介しました。さらに、既存資産である3D CADデータを活用することで、DFXを実践できることについてもお伝えしました。
エリジオンが提供する3D-SUITEのDFX Analyzerでは、導入後すぐに活用できる3つの標準セットをご用意しています。
設計初期から後工程を見据える「DFX」の導入をご検討の際には、ぜひご参照ください。
