3D全盛でも2Dは健在

3D CADが登場して40年近く経ち、いまや大手企業はもちろん中小企業でも設計に3D CADが用いられています。

立体の物を作るために立体的な設計図を用いるのは自然な流れで、ハード面の技術革新やソフトの高性能化が相まってますます3Dデータ活用の流れは強まっています。

しかし、その中にあっても実は2Dの図面データが重宝されるケースもまだまだ残っています。例えば部品手配や検図など、特定の目的においては2D図面のほうが便利と感じるエンジニアも多いようです。

二つの2D図面の差を見つけるのは難しい

エリジオンは3Dデータ活用を専門としてこれまで40年近くソフトウェアを開発してきましたが、2Dデータの活用についての問い合わせを受けることもあります。

よくある問い合わせが、検図の効率化に関するものです。

画像だけを比べても、知りたい違いは見えてこない

検図の工程では、設計変更箇所だけでなく設計者の意図と異なる変更が無意識に加えられていないか確認されます。

人の目では見つけづらい違いを検出するため、多くの企業が図面比較ツールを採用しています。ただし、その多くは図面の”画像”を比較するツールです。

画像を比べるツールでは、例えば2D図面上の詳細図の配置が少しでも変われば、その詳細図全体がすべて差異として検出されます。そのため、最終的には担当者が目視で一つ一つ比較結果を確認する必要があり、デジタルツールを導入しているにもかかわらず結局は人に頼らなければなりません。

検図の自動化を実現するポイント

つまり、単に二つの図面を比べるだけでは省力化にはつながりません。

本当にチェックしたい寸法や注記などの差異だけを検出し、わかりやすいレポートとして誰でも分かる情報としてまとめる機能が検図ツールには必要です。

エリジオンは検図のためのソフトDrawing Validator (3DxSUITE)を開発しています。Drawing Validatorは、CADのAPIにアクセスして図面の各要素ごとに正しくマッピングを取ったうえで情報の突き合わせを行うため、エンジニアが知るべき差異だけを抽出して表示することができます。

時短だけでなく心理的な負担も軽くする

あるお客様は年間300枚以上の図面のチェックをしており、その効率化を課題としていました。お困りごとをヒアリングしたところ、単に時間や手間がかかることだけが問題となっているわけではないということでした。

  • 検図の精度が十分でなかったことで後工程で大きな問題が発生させてしまった
  • 図面の全件チェックを会社として必須としたが、現場のエンジニアがどんなに一生懸命取り組んでもチェック漏れがなくならない
  • 「チェック漏れを起こしてはならない」という担当者の心理的負担が増大してしまっている

人力では到底できないことを組織が盲目的に目指してしまえば、担当者だけに負担が偏るだけで根本的な解決には至りません。むしろエンジニアが疲弊し、ひいては退職してしまうリスクが高まります。

適切なシステムを導入し、エンジニアがより創造的な仕事に取り組める環境を整備することは、中長期的に見た場合コスト軽減や時間短縮といったわかりやすい効果以上の、大きな価値の創出につながるはずです。

参考

Webセミナー録画: “違い”を見つけるのは デジタルの得意領域 | Elysium Academy