
3Dデータ基準の製造プロセスを構築し、図面レスによる工数削減と生産性向上を実現
株式会社高津製作所様
自動車生産設備
ASFALIS,サービス/コンサルティング
自動車生産設備
ASFALIS,サービス/コンサルティング
高津製作所は、エリジオンのASFALISと加工用ビューアーキャメスト「3D活用エンジン」を導入し、従来2D図面を中心に進められていた業務フローを、3Dデータを中心とするプロセスに転換しました。エリジオンとともに現場担当者の意向をくんだ徹底した運用フォローを行うことで、取り組み開始から2カ月という短期間で、図面作成工数の大幅な低減や、手戻り・滞留の削減といった成果を上げました。
高津製作所は、精度の高い加工技術と独自のアイデアで、自動車業界において存在感を高めている製造ライン設備メーカーです。トヨタグループにおけるシェル系製造の溶接ラインではシェア約6割、ヘミング加工設備ではシェア約8割をも占めています。
高津製作所では、製造プロセス全体の生産性を高めるため、一つの3Dデータを全部署でリアルタイムに共有できる仕組みの導入が早くから検討されていました。しかし、製造プロセスの一部では紙図面を使った方が効率的なケースもあり、単純に紙図面を廃止し3Dデータ活用に一本化することは不可能でした。
その一方で、紙図面を利用したフローを継続した場合、図面作成に相当な工数が割かれたり、紙図面と3Dデータの情報に差異が生じることで手戻りや滞留を誘発したりするといった課題が残ります。
そこで高津製作所では、原則として設計部門が作成した3Dデータをプロセス全体における基準とし、製造・営業企画・品質保証などさまざまな部門でそのデータを共有することを改善方針として定めました。なお、高津製作所ではこのプロセスを「データ基準の業務フロー」と名付けました。
高津製作所が目指した、部門横断での
3Dデータ共有のイメージ
データ基準を実現するためには、次の3点を行う必要がありました。
高津製作所は、特に3D情報を後工程に正確に伝えるという観点でさまざまなシステムを検討した結果、後工程に必要な座標系や加工属性等の情報を正確に再現できるエリジオンのASFALISと、それらを正確に閲覧することのできるキャメスト「3D活用エンジン」を組み合わせたシステムの採用を決定しました。
新たな仕組みを導入するに当たって、高津製作所はまず従来2D図面上でやり取りされていた情報をいかに3Dデータ上に定義するかを検討しました。エリジオンとともに協議を重ねた結果、厳密なルールを設けることで必要な情報を3Dデータで定義することを決めました。
3Dデータでの加工情報定義の例
加工情報を3Dデータに定義しても、その情報が出図先のシステムで再現できなければ意味がありません。そこでまずエリジオンのASFALISを導入し、設計部門が作成したCADデータを3D形状・注記・寸法・属性を含む中間ファイルに変換するシステムを構築しました。同時に、製造部門や営業部門にその中間ファイルを正確かつ簡単に閲覧できるキャメスト「3D活用エンジン」を導入することで、設計部門から後工程まで、必要な情報をタイムラグなく正確に伝達できる体制を整えました。
ASFALISと他社製品とのデータ変換結果の比較例
またこのシステムを確実に現場に展開するため、徹底したフォローを実施しました。例えば、3Dデータの扱いに不慣れな現場担当者でも活用できるよう目的別のマニュアルを整備したり、キャメスト「3D活用エンジン」の操作教育を複数回にわたって実施したりしました。3Dデータ作成時のアセンブル構成や変換単位なども見直し、製造現場の担当者が使いやすく、かつ設計部門の負担が小さくなるような運用体制の改善も行いました。
さらには、油が飛ぶ環境でもノートPCを使えるよう専用カバーを自作したり、3Dデータがなるべく実物に近い形で見えるように大型モニタを製造現場に導入したりと、ハード面での環境整備を実施したほか、現場担当者の意見を取り入れながら、座標設定機能や注記機能を追加開発するといったソフト面での改善も行いました。
2D図面から3Dのデータ基準への移行は、プロジェクト開始から短期間のうちに展開され、2カ月後には複数部署で図面レス(データ基準の業務フロー)が実現しました。
この垂直立ち上げの背景には、必要十分な情報をシンプルに3Dデータに定義する工夫、3D情報を正確に後工程に伝えるエリジオン製品の導入、現場担当者の意向を踏まえたハード・ソフト・運用フローの改善といった徹底的な実運用フォローという三つのポイントを確実に押さえた高津製作所の堅実な取り組みがありました。
高津製作所では、国内で構築したデータ基準の製造プロセスを今後グローバルにも展開するべく、日々改善が進められています。
エリジオンの3Dデータ処理技術
世界トップ水準のエリジオンの技術力が
3Dデータ処理に関する複雑な課題を解決します。