プレスリリース
InfiPoints、BIMソフトとの連携と点群データ合成機能を強化―点群データを「見るから使う」へ。エンジニアリング用途での点群活用を促進
2016年8月24日
プレスリリース
InfiPoints、BIMソフトとの連携と点群データ合成機能を強化―点群データを「見るから使う」へ。エンジニアリング用途での点群活用を促進
2016年8月24日
株式会社エリジオン(本社:静岡県浜松市、代表取締役社長:矢野 裕司、以下 エリジオン)は、このたび3次元点群データ処理ソフト「InfiPoints」の新バージョン「Ver.3.0」をリリースしました。InfiPoints Ver.3.0では、点群からのCADモデル化機能とデータ出力機能を拡張し、各種BIM(Building Information Modeling)ソフトウェアとの連携強化を図りました。また、3Dレーザースキャナーで複数箇所から計測した点群データの合成精度を向上させる機能と、合成後のデータ精度を定量的に把握できる機能を追加し、エンジニアリング用途での点群データの実用性向上を実現しました。
現在、建築業界ではBIMの普及に伴って、扱われるデータの中心が従来の2次元から3次元に移行しつつあります。特に新築工事においては、設計からメンテナンスまでの工事プロセス全体で3次元データを活用する方法が一般的です。さらに、すでに存在する建物や構造物についても、その3次元データを効率的にBIMに取り入れ、施工準備に活用するための新しいツールへのニーズが高まっています。
今回のInfiPointsのバージョンアップでは、計測した点群データから短時間で配管や鋼材をCADモデル化し、各種BIMソフトウェアに受け渡すための機能を拡張しました。具体的には、H形鋼などの鋼材をモデル化する機能を新開発したほか、配管としてモデル化できる形状の種類を拡張したことで、点群データからよりリアルなモデリングができるようになりました。
さらに、エリジオンがこれまで主に製造業向けのソリューションとして提供してきたデータ変換技術(異なる3D CAD間でのデータ変換)をもとに、点群から作成したモデルの形状情報に加え「長さ」や「径」などのパラメーターを出力する技術を開発しました。これにより、ユーザーはInfiPointsで作成したモデルのパラメーターを利用して、既存の構造物をBIMソフトウェアで効率的にモデリングすることができます。
また、計測時に設置した基準球やチェッカーボードの形状を高い精度で認識する技術や、複数の点群データをフィットさせる際に誤差を最小化する新技術を開発し、InfiPointsでのデータ合成精度の向上を図りました。なお、その結果を数値やグラフなどで表し精度を保証する機能を追加したことで、今後点群データは、現場を見るための情報としてだけではなく、より高度なエンジニアリング用途でも活用されることが期待されます。
エリジオンは、現在独自の計測実験やデータ処理技術に関する研究開発を継続的に実施しています。今後も点群データ活用の基礎となるデータ合成精度の向上や、自社製品と他のITツールとの連携強化を図ることで、建物や設備のリニューアル施工等における点群データを用いた新たなエンジニアリングの発展に貢献してまいります。
点群データから自動抽出した平面を活用し、H形鋼・角形鋼管などの鋼材をInfiPoints上で簡単にCADモデル化できる機能を追加しました。モデリングを行う際には、鋼材の一般的な規格サイズが画面にガイドとして表示されるため、ユーザーは簡易なマウス操作で、適切な形状と大きさの鋼材をモデリングすることができます。
InfiPointsの配管モデリング機能・設備モデリング機能と併用し、作成したCADデータをBIMソフトウェアに受け渡すことで、手早く正確に現場の状況をデジタル化できます。
点群データから鋼材をCADモデル化(赤色部分)した例
点群からの配管モデリング機能を拡張し、InfiPoints上でのレデューサーのモデリングを可能にしました。さらに、フランジを片面ずつ扱えるよう改善したことで、フランジ合わせ部のすき間なども忠実にモデリングし、詳細な形状をBIMに受け渡すことが可能になりました。
外径の異なる配管をレデューサーでつないだ例
2枚をセットで作成したフランジ(上)と片面ずつフランジを作成した例(下)
InfiPointsを用いて点群データから作成した配管・鋼材などのモデルについて、形状だけでなく長さや径などのパラメーターをBIMソフト等に受け渡す機能を開発しました。ユーザーは、出力したファイルをBIMソフトや設備CADソフト(Rebro・EYECAD*等)に入力することで、そのデータを編集しながらモデリング作業を進められるため、施工図を一から作る場合に比べ時間や手間を大幅に減らすことができます。
なお、現在BIMソフトの代表的な中間フォーマットであるIFC形式でのデータ出力機能を開発しており、2016年9月にリリースする予定です。
複数点群データの相対的な位置を最適化するフィット機能の拡充や、点群データ内のマーカー認識精度の改良などにより、点群データの合成精度の向上を実現しました。
また、エンジニアリング用途での点群データの実用性を高める機能として、合成後の各データの一致率を数値やグラフで正確に示したり、位置情報をレポートファイルとして出力したりする機能を追加しました。これにより、ユーザーは合成した点群データが実際の施工検討に必要な精度要求を満たしていることを確認した上で、詳細な設計を行うことができます。
そのほか、3次元計測や工事施工を請け負った業者が、納品データの精度を正確に施主に伝達する目的でも、InfiPointsで出力したレポートを利用することが可能です。
誤差のカラーマップ(中央)をはじめとした、InfiPointsでの視覚的・定量的な誤差表示の例
米国DotProduct社が提供するハンディータイプの3DレーザースキャナーDPI-8で作成されたデータを、InfiPointsに入力する機能を追加しました。DPI-8は、設備の裏側などレーザーが届きにくい箇所を計測したり、現場の狭い範囲だけを計測したりする際に利用されています。新バージョンのInfiPointsでは、DPI-8で計測したDP形式のデータを取り込み、据え置き型のスキャナーで計測した大規模なデータと合成することで現場をより細部まで再現した点群データを作成することができます。
*Rebroは株式会社NYKシステムズの登録商標です。また、EYECADはIntergraph Corporation またはその子会社による登録商標です。その他、掲載している会社名・製品名は各社の登録商標または商標です。