株式会社エリジオン(本社:静岡県浜松市、代表取締役社長:矢野 裕司)は、このたび、燃料電池の3D CADデータから、燃料電池専用のシミュレーターに最適なメッシュ(格子状の形状)を自動的に生成する技術を開発しました。本機能は、みずほ情報総研株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:西澤 順一)が2016年8月にリリースするシミュレーションソフトウェア「P-Stack 4.0」に搭載されます。
エリジオンが開発した自動メッシュ生成機能は、複雑かつ極めて薄い形状が何層にも積み重なる燃料電池の特殊な構造に起因するメッシュ作成の手間を、大幅に低減するものです。従来の解析作業では、オペレーターが燃料電池のCADデータを層ごとに分解し、一層ずつメッシュを手動で作成する必要がありました。本機能を用いれば、3D CADデータからP-Stack専用のメッシュが自動で作成されるため、解析準備作業を効率化することが可能です。
P-Stackは、従来のCAEソフトウェアでは実現が困難であった燃料電池セル・スタックの性能評価や予測を、独自の計算手法によって実現したシミュレーションソフトウェアです。みずほ情報総研は、P-Stackの設計・開発現場での実用性を重視しており、性能評価で要求される精度を保持しつつ、解析に必要なメッシュを粗視化して計算コストを低減する仕組みを採用しています。ただし、P-Stackで必要なメッシュは一般的なCAEソフトウェアで用いられるものとは異なるため、既存のメッシュ自動生成技術をそのまま適用することができませんでした。
そこでエリジオンは、P-Stackが解析のために必要とする最適な粗視化メッシュを3D CADデータから自動生成する、新たなアルゴリズムを開発しました。
本機能がP-Stackに搭載されたことで、従来ユーザーが約1週間かけて行っていた解析用のメッシュ作成作業が、1日程度で完了するようになりました。
現在、自動車をはじめ多様な分野で燃料電池を用いた製品開発が進められています。それに伴い、燃料電池に特化した設計・解析用のソフトウェアの需要が高まり、さらにそれらのソフトウェアの利便性向上につながる新しいデータ処理技術の開発も必要となっています。
エリジオンは創業以来、多くの製造業者・CADソフトウェアベンダー・その他パートナー企業とともに、3次元データ処理に関する独自技術を開発してまいりました。今後も、今回のような、最先端の技術分野ならではの未知の課題に積極的に取り組むことで、長年培った知見と技術を発展させ、より高度なソリューションを提供してまいります。
※「P-Stack」はみずほ情報総研株式会社の登録商標です。P-Stackの詳細については こちらのWebサイトをご参照ください。