プレスリリース
エリジオン、CADdoctor EX7.0をリリース―世界初、アセンブリのすき間埋めと組み合わせた外形抽出機能を搭載。CAE業務を効率化する先進機能を拡充
2015年11月30日
プレスリリース
エリジオン、CADdoctor EX7.0をリリース―世界初、アセンブリのすき間埋めと組み合わせた外形抽出機能を搭載。CAE業務を効率化する先進機能を拡充
2015年11月30日
株式会社エリジオン(本社:静岡県浜松市、代表取締役社長:矢野 裕司)は、3次元データ変換・活用支援ツールCADdoctorの新バージョン「CADdoctor EX7.0」(以下、EX7.0)を、2015年11月30日に発売します。EX7.0では、アセンブリデータに含まれるパート間のすき間を自動で埋めながら表面形状(外形)を抽出する世界初の機能や、アセンブリの内部空間を抽出しCADモデル化する機能を開発しました。またリバースエンジニアリング機能を改善し、解析ツールで作成されたポリゴンデータからの高精度なCADデータ作成を可能にするなど、CAE(Computer Aided Engineering)を支援する機能を拡充しました。
CADdoctorは販売以来、異なるCADデータフォーマット間の変換ツールとして多くの企業に採用され、製造プロセスの効率化に貢献してきました。また、製造業における3Dデータの活用範囲の拡大に合わせ、CADモデルの形状簡略化機能や中立面作成機能、生産要件検証機能などを段階的に追加し、CAEや金型設計など製品設計以外の周辺業務のニーズへの対応も行ってきました。
製品ライフサイクルの短縮化が進み、コンカレントエンジニアリングなどのより効率的な開発プロセスの構築が求められる製造業においては、近年、特に3次元データを用いた解析業務の重要性がますます高まっています。こうした背景を踏まえ、EX7.0では、CAE業務の効率化を支援する機能の改善と新規開発に注力しました。
さまざまな領域があるCAEの中で、EX7.0では特に流体(気体や液体)解析に関わる機能を強化しました。例えば、自動車用マフラーの排気の流れや温度分布を解析する際には、実際に排気の流れる空間形状を、マフラーを構成するアセンブリモデルから抽出する必要があります。このとき、アセンブリモデルの各部品には設計上の公差が盛り込まれており、CADモデル上では各部品の間に微小なすき間が存在します。そのため、内部の空間形状を抽出するには、まずCADデータを編集してこのすき間を一つ一つ埋めなければなりません。
EX7.0では、世界最高水準の形状処理技術を駆使し、部品間のすき間を自動で埋める世界初の機能を実現することで、従来の外形抽出の精度を向上させると同時に、アセンブリの内部空間を抽出する機能を開発しました。これにより、ユーザーは流体解析に必要な形状だけをCADデータから簡単に抽出できるため、解析用のデータ作成の工数削減を実現します。
また、リバースエンジニアリング機能を改良することで、CAEツールで作成したポリゴンデータから高品質なCADデータを作成することが可能になりました。例えば、樹脂製品の流動解析を行い成形による反りなどの変形をシミュレーションし、そこで得られた変形後形状のポリゴンデータから高精度なCADデータを作成することができます。解析結果が反映されたこのCADデータと、設計時に作られた周辺パーツのCADモデルを組み合わせることで、実際に製品を成形した際に周辺部品とどのような干渉が発生するかを確認するなどの用途で活用できます。
エリジオンは今後も、3次元データの検証・修正・変換の精度や処理速度の向上を図ると同時に、多様なニーズに応える新たな技術を生み出し、CADの周辺分野を中心とした新たな顧客層へのソリューションの提供を目指してまいります。
製品モデルの流体解析を行う際、アセンブリモデルから外形や内部空間を効率的に抽出することが求められます。
アセンブリからの外形抽出と内部空間抽出を行うためには、はじめにアセンブリを一体化し、一つのソリッドモデルを作成する必要があります。ただし、アセンブリの各部品間には、組み付ける際のクリアランスを考慮した微小なすき間が設けられているため、まずこのすき間を検出し効率的に埋めることが重要です。
EX7.0では、エリジオンが誇る世界最高水準のブーリアン演算と、新たに開発した、業界に類を見ないパート間のすき間検出・修正技術を組み合わせることで、自然な形状を保ったまま自動ですき間埋めを行う機能を実現しました。
これにより、CADソフトで一つ一つのすき間を手作業で埋める従来の工程に比べ、手間と時間を大幅に短縮することが可能になりました。
CADdoctorは、アセンブリに含まれるすき間を埋めた後、アセンブリを一つのソリッドに変換します。高い精度でのすき間埋めを可能にしたことで、1ソリッド化されたアセンブリからの外形抽出の精度も改善しました。
さらに、すき間埋め機能と外形抽出機能を応用し、アセンブリの内部空間を自動で抽出してCADモデル化する機能を開発しました。内部空間のソリッドモデルは、製品内部を流れる気体や液体の解析に利用できます。
CADソフトを用いて手作業で内部空間をモデリングする複雑な工程に比べ、手間と時間を低減させることができます。
EX7.0では、構造解析や強度解析などを行うCAEツールで作成されたポリゴンデータから、CADモデルを高い精度で作成することが可能になりました。
EX6.0以降、CADdoctorでは3次元測定器から出力されたポリゴンデータのCADモデル化機能を継続的に改善してきました。3次元測定器から出力されたポリゴンデータには測定ノイズが含まれているため、ノイズを考慮しながらCADデータを作成する必要があります。一方、CAEツールから出力されるポリゴンデータにはノイズは含まれていない反面、二つの平面が直角に交わった状態がはっきりと再現されるなど、その性質は3次元測定器から出力されるポリゴンと異なります。
EX7.0では、CAEツールで作成されたポリゴンデータの特徴を考慮するロジックをリバースエンジニアリング機能に組み込むことで、より高い精度のCADモデルの自動作成が可能になりました。
製品設計の初期段階で作られるCADモデルは、一つの製品であっても1ソリッドになっておらず、シェルの状態のパーツやソリッド化されたものなどが混在する複数の部品で構成されている場合があります。このようなCADモデルを用いて解析を行う際には、まず各パーツを一つのソリッドになるよう結合する必要があります。
EX7.0では、複数のソリッドやシェルを1ソリッド化する他に類を見ない新機能を追加しました。これにより、ユーザーは設計の初期段階で解析用のデータを手間なく作成でき、製造プロセス全体の効率化を実現することができます。