株式会社エリジオン(本社:静岡県浜松市、代表取締役社長:小寺 敏正、以下エリジオン)は、3次元点群データ処理ソフト「InfiPoints(インフィポインツ)」の最新版であるInfiPoints Ver.2.0を2014年6月20日に発売します。InfiPoints Ver.2.0では、主に「配管モデリング機能」と「動画作成機能」を新たに追加しました。
近年、3次元計測器の性能向上と低価格化が進む中で、大規模な構造物を手軽に3次元点群としてデータ化できるようになり、そのデータをシミュレーションに活用して業務効率を向上するニーズが高まっています。例えばプラント業界では、高度成長期に建てられ老朽化が進む構造物の改修検討に、また造船業界では、既存船舶に新規の設備を設置する際の配置検討に用いる等、3次元データを活用した様々な試みが始まっています。
プラントや船舶の保全または改修における配管工事の現場では、現場でスケッチした図面や写真を用いて施工内容の検討が行われています。しかし、時間の制約などから細部にわたる情報を十分に集めきれず、工事開始後に配管の接続部の位置が合わない等の問題が起きて作業のやり直しが必要になる場合があります。こうした状況を回避するため、既存の配管を3Dモデル化して施工前に予めシミュレーションを行う試みが始まっていますが、配管のモデリングには膨大な工数がかかるため、広く普及するには至っていないのが現状です。今回InfiPoints Ver.2.0では、点群データから配管形状を自動抽出して効率的な配管モデリングを実現する機能を新たに追加しました。本機能を用いることで3Dモデル作成にかかる時間が大幅に短縮し、より多くのシミュレーションを事前に行うことが可能になりました。
またInfiPoints Ver.2.0では新たに動画作成機能も追加し、施工のシミュレーション映像を動画ファイルとして簡単に書き出すことができるようにしました。動画により工事後の状況を視覚的に分かりやすく確認できるため、例えば、施工会社が施工主と商談をする際に遠隔地の現場のイメージを共有したり、工事の関係者間で詳細な検討を行ったりするためのコミュニケーションツールとして活用することができます。
エリジオンは、InfiPointsを軸としてユーザーごとのニーズに合わせたソリューションを提供し、さまざまな業界で今後拡大が見込まれる大規模な3次元データの活用を支援してまいります。
InfiPoints Ver.2.0における追加機能の概要
1. 配管モデリング機能
3次元計測した大型構造物の点群データのうち配管部分を3D CADモデル化するには、多くの場合手動で1箇所ずつ形状を作成する必要があるため、数千から数万本の配管をモデル化するような場合には膨大な時間と工数がかかります。
InfiPoints Ver.2.0では、点群データを基に短時間で配管を3D CADモデル化することができます。また配管の自動抽出に加え、計測時の死角で点群が欠落している箇所でも、自動補完機能と手動作成機能を用いて簡単に配管を追加作成することができます。作成した配管要素は規格部品のデータに置き換えることも可能です。
<サポートする配管形状>
- 直管、エルボー、フランジ、ティー
<データ出力形式>
- 各種CAD形式(IGES、STEP、CATIAV5ほか)
- 3Dアイソメ図形式(DWG、DXF)

図1 配管モデリングの例
2. 動画作成機能
点群データを用いた高品質なフライスルームービーを作成することができます。
視点位置を指示するだけの簡易な操作でカメラ軌跡を定義でき、動画を簡単に作成することが可能です。動画再生時には点群に追加したCADデータも合わせて表示できるため、工事完了後の状況を事前に説明するための資料として利用することができます。

図2 動画作成機能で定義したカメラ軌跡の例
3. ライセンス持ち出し機能
InfiPoints Ver.2.0では、ライセンスの一時的な持ち出しを可能にしました。例えば、InfiPointsをインストールしたノートパソコンを計測現場に持ち込み、オンサイトで点群データの確認や編集を行うことができます。
4. 座標変換機能
プラントや建物の図面には、通常、基準となる原点と向きが定義されています。一方、3次元計測器で得た点群データは計測位置を中心にした座標で定義されているため、図面の基準座標とは異なります。InfiPoints Ver.2.0は点群データを図面の基準座標に合わせる機能を持ち、CADで設計した3Dモデルや2D図面との合成や比較が可能になりました。