株式会社エリジオン(本社:静岡県浜松市、代表取締役社長:矢野 裕司)は、3Dデータ活用のためのトータルソリューション「ASFALIS」の新バージョン、「ASFALIS EX7.0」(以下、EX7.0)を2016年1月8日に発売します。EX7.0では、主に、二つの3D CADデータに含まれるPMI(製品製造情報)や属性情報を比較し、差異を検出・レポートする技術を開発しました。これにより、形状情報・PMI・属性情報・アセンブリ構成などCADに含まれるあらゆる情報の差分をマルチCAD環境下で柔軟に検出できる機能を、世界で初めて実現しました。
CADデータの比較は、データの編集箇所を抽出したり、他のファイル形式に変換されたデータの正当性を検査したりする際に必要な機能です。その利用場面は、同一企業内の製造プロセス間で設計変更内容を共有する際や他社・他部門にデータを受け渡しする際など、多岐にわたります。EX7.0の新たな比較機能を活用することでデータ変換によるトラブルを未然に防ぎ、製造工程におけるプロセス間、企業間の連携を円滑に行うためのデータ流通システムを構築することができます。
近年多くの企業が、製品ライフサイクルの短期化に対応するため、製造プロセスの複数の工程を同時並行で進めプロセス全体のリードタイム短縮を図っています。順を追って工程が進む単純なフローとは異なり、こうした複雑な製造プロセスでは前後の工程で行われた設計変更の内容(ECO: Engineering Change Order)を適切にマネジメントできるシステムが不可欠です。そのニーズは、業界再編に伴う企業の統合や新たな業務提携の活発化などを背景として、製造業全体で拡大しています。
また、CADソフトウェアのバージョンに依存せず長期間データを保存することを目的として、JTなどの標準フォーマットの利用が拡大しています。これに伴い、標準フォーマットと自社が利用しているCAD間のデータ変換が各企業で定常的に行われるようになり、それに合わせてこれまで以上に高い精度の変換技術が求められています。さらに、こうした状況では誤変換のない高品質なデータ変換ツールに加え、仮に誤変換が発生した場合でもデータが受け渡しされる前に問題を検知し、後工程でのトラブルを未然に防ぐことのできるシステムが重要な役割を果たします。
ASFALISは、製品設計から販売・サービスに至るまでのすべての工程において、企業が3Dデータを介して各工程の連携を強め、生産性の高いサプライチェーンを構築するためのトータルソリューションです。EX7.0では、二つの3D CADデータに含まれる寸法・注記・記号などのPMIや、製品仕様・加工情報などを記した属性情報を比較し、その差異をレポートとして出力する独自の機能を開発しました。これにより、ユーザーは自身の前後の工程で加えられたCADデータ内の変更箇所を必要なタイミングで正確に把握することができ、変更内容に応じた適切な対応を行うことが可能になりました。
比較結果のレポートは、3D PDF形式またはHTML形式で出力することができます。いずれも特別なツールを導入することなく閲覧できるため、社内外の関係者と手間なく情報を共有することができます。特に3D PDFは、昨今欧米の製造業を中心に、PMIや属性情報とともに3Dデータを閲覧するための手軽なフォーマットとして積極的に活用されており、今後は国内でも3D PDF形式のレポート出力機能の需要が高まることが見込まれます。
また、EX7.0ではCADデータの変換機能強化の一環として、主に欧米の自動車業界や航空業界で標準フォーマットとして関心が高まっているSTEP AP242 BOM(Business Object Model) XMLに対応しました。
そのほか、大規模なシステムを構築することなく、簡単にASFALISのCADデータ変換機能を使用することができる新たなインターフェース「ASFALIS DirectTranslator」を開発しました。変換するファイルをWindowsのエクスプローラ上で選択し、右クリックするだけの簡単な操作でASFALISの高度なデータ変換を実行することができます。また、CATIA V5、Creo、NX、SOLIDWORKSの四つのCADソフトウェアと連携するASFALIS DirectTranslatorのプラグインも提供します。
エリジオンは、今後も世界トップ水準の3Dデータ処理技術を駆使し、ユーザーが会社や組織、システム間の隔たりなどを意識せずに、また特別な知識がない状態でも、複雑化するサプライチェーンの中で常に高い生産性を発揮することのできる独自のソリューションを提供してまいります。